夜空を仰いで

ガキの頃、プラネタリウムを見て感激したことがある。

確か、桜木町のとある施設だった。

暗くなったホールの天井を見上げると、

そこに無数の星が瞬いている。

ニコン写真 252

一同から、ため息が漏れた。

日常でも、

見上げれば当たり前のように空があるのに、

皆忙しく暮らしていたので、

わざわざ夜空を見上げることもなかった。

ニコン写真 254

時たま、流れ星が光ると、願い事を口に出す間もなく、

それが幾度となく続くと、

ああ、願い事というのはなかなか叶わないんだなぁと。

真夜中の夜空、

冬の夜空、

七夕の頃の天の川、

そして満天の星空…

ムカシ、坂本九の「見上げてごらん夜の星を」という唄が好きだった。

このブログのタイトルは加山雄三のヒット曲。

「銀河のロマンス」という歌もヒットした。

皆、けっこう夜空が好きではないか…

ニコン写真 250

写真家をめざしていたので、高校を卒業すると、

日吉の写真専門学校に願書を取りに行ったが、

その授業料を見て驚いた。

他に機材や暗室の用意などを含めると、

膨大な金額だった。

家に帰って父親に話すも、即却下。

到底バイトで賄える金額ではない。

カメラマンの夢は消えた。

当時、カメラマンは金持ちしかなれなかった。

これ、ホントの話。

結局、大きく進路変更し、

大学へ入り直して編集の道をめざすのだが、

その理由はまずコストパフォーマンスの良さだった。

コピーライターへの転向も、

機材に頼らない、

更に独りでやりたい、

そんな勝手な理由からだった。

後に仕事の関係上、

結局カメラマンとはよく仕事で絡むこととなったが、

私の進路変更は正しかったという他ない。

彼らの作品の出来を見て、

やはり凄い奴が何人もいた。

同じものを見ていても、

何かが違う仕上がり。

それが数値だけではない、

何か得体の知れないものが介在しているような

魅力ある作品。

それを才能とでもいうのだろうか?

ようやく最近になってその魅力に取り憑たので、

晴れた日、裏山から夜空を撮ったりしている。

程々が良い、というのも分かり始めた訳で…

ニコン写真 242

森を歩く

朝、ベランダから鳥のさえずりがきこえると、

あっ今日は晴れだなとさっさと目が冴える。

(我ながらゲンキン!)

やり残しの書きものとかデスク仕事だとか、

そういう野暮なものは後回しにして、

どこへ出かけようかとウズウズしてしまうのが、

最近の晴れた休日の朝の傾向。

居間からキラキラとした朝の日射しがまぶしい。

ソワソワと朝食を摂る。

とにかく歯を磨いてヘアスタイルを整え、

出かける支度を急ぐ。

水のボトル、シリアルバーなどをザックに入れ、

帽子を被り、トレッキングシューズを履くと、

なんだか晴れ晴れとした気になる。

今日は、最近オープンした自然公園へと出かける。

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麓の坂を歩いていると、

途中の小径に切り通しがあって、

そこは意図的に地層がむき出しにしてある。

ある箇所の地層の色が、他と異なる。

説明の看板を読むと、

それは富士山の噴火でできた地層らしい。

こうしたものから歴史を探る仕事って、

結構面白そうだなと思う。

振り返れば、若い頃の就きたい仕事のひとつに

考古学者というのがあったのを今更ながら思い出す。

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森を進むと奥地に水田が広がる。

アメンボがスイスイと水面を滑っている。

沢山の蛙がゲコゲコと鳴いている。

これは幼い頃と同じ景色、

同じ風景だ…

あの頃は一年中半ズボン。

いつもナイフを手に何処へでも入っていった。

そういえば竹ヤブに丸一日いて、

親に怒鳴られたことも幾度かあった。

ナイフ使いはその頃に覚えた。

竹と笹をうまく組み合わせて、

刀のようなものをいつも夢中でつくった。

山から下りると手も足も傷だらけで、

オキシドールをかけると、これがとにかく痛い。

傷口から泡がボコボコと噴き出していた。

いま、その消毒薬は使用禁止らしい。

うっそうとした木々の間から、

野鳥があらん限りの力を振り絞るようにさえずる。

どこでそれをきいているのか、

呼応するように鳴き返すから、

森じゅうがカン高く美しく響く、

コーラスのステージと化す。

春だなぁ、森はいま恋の季節だ。

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強い日射しが新緑に照り返り、

それが風に乗って揺れるので、

刻々と彩りが変化するその様が美しい。

この視覚効果は、最新のCG技術なんかもかなわないだろうと

確信をもつのだが、いま思うにちょっと自信はない。

「山ガール」という言葉ができるほど、

最近はハイキングブーム。

「ランドネ」という山登りの本が売れているらしい。

アウトドアショップに行っても、

閑散としていたムカシと違い、

いまは老若男女の人でいっぱいだ。

バーベキューにハイキング、

カヌー遊びに焚き火のどれもが、

いまの若い人には新鮮だろうが、

田んぼの蛙を焚き火で焼いて喰い、

石油の一斗缶を紐で繋いでイカダをつくり、

それに乗って川遊びをしていた私には、

これらすべてがノスタルジーの再現だ。

が、すべてがスタイリッシュでカッコ良くなり、

いちいち金がかかるようになったなぁと思う。

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そういえば、都会のコンクリート・ジャングルも、

なんだかんだと過ごしているうちに金がかかる。

皇居のまわりや多摩川べりを走っている知人、

横浜の本牧埠頭で釣りを趣味にしている友人に聞くと、

アレコレと金がかかると言う。

面倒なのでその明細を聞いた訳ではないが、

なんだか世知辛い。

「ムカシは良かった」と実感するのは、

やはりそんな時だ。

山カフェ

コーヒーの道具もだいぶ揃ってきたので、

外カフェしてきました。

コーヒーだけを飲むためだけに野山や河原にでかける―

以前からね、これを狙っていました。

湖畔2

BBQは、いつでもどこでも誰でもって感じでフツーだったので、

あえて別の理由で戸外へ出かけたいと。

私はさほどのコーヒー通ではないけれど、

どこのコーヒーも結構飽きていまして、

それは味ではなく、屋内の閉塞感とでも言おうか。

自分なりのちょっとした贅沢がこれです。

煎れる

外でいただくコーヒーは格別の味がします。

たとえば、川のせせらぎの音が、

ジョージ・ベンソンの歌声より心地良く聞こえるとか。

頬を通り過ぎる風は、マイホームのエアコンより上質。

鳶がグルリと旋回し、獲物はないかとときどき急降下をしてくる。

ミルを持ち出すほど通ではないが、

一応湯を沸かし、丁寧にドリップするも、

炭焼きの豆になんだか嫌な苦みが混じる。

なのにちょっと薄い味わい。

微妙な味なんだけど、

サンドイッチとチーズパンを頬張りながら、

少しづついただき、周りの景色を眺めるにつけ、

やはり美味いなぁと。

コーヒーセット

雨がポツポツと降り出してきたので、

道具類をさっとトランクへ仕舞い、

帰路は霧雨のなかをドライブ。

こんな時間が、

最近ではなんだかとても貴重に思えて、

心底ほっとするんだなぁ。

湖畔

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リフレッシュ農園

あ

う

疲れると、ときどき立ち寄る憩いの地。

近所のTさんという方が営まれている農園です。

すべて無農薬・有機農栽培。

Tさんの農業歴は15年だそうで、

現役時代は東京の建設会社にお勤めされていました。

元々は江戸っ子。

現在は都会が嫌いだそうです。

ふーん。

き

さて、農園の広さは何反だったか忘れましたが、

とにかく広い。

奥の方には、栗の木も桃の木もたくさんある。

そもそも、一人で面倒をみる広さではないんですね。

素人目に見ても、広すぎる。

作物の種類も多いのですが、

単一作物で効率良くやらないと、

農業というのは儲からないらしい。

Tさんの決算書を見せてもらい、納得。

儲かる農業の概略は私にも薄々分かってきた。

が、Tさんは金には全然困っていないので、

至ってマイペース。

利益は度外視していて、

つくる楽しみのみを追求している。

Tさんは毎日毎日、黙々と作業する。

休憩小屋には、農業に関する本がびっしりと並ぶ。

雨の日も、当たり前に畑に出る。

そして雪の日も太陽がぎらつく真夏も…

農園にはいまどき、

冬だというのに、いろいろな作物ができる。

農薬を使っていないので、

寒いのに、虫も鳥も結構飛んでくるのだ。

そうそう、

湧き水の流れのなかにクレソンがなってる。

飲めそうな清流なんです。

え

鶏は平飼いで、皆のびのび生活している。

ストレスのない鶏が産む卵は、

近くの市場に卸すと、即完売してしまう。

私もいただきましたが、黄身の張りが違います。

白身の弾力が強い。

そしてなにより旨い。

さ

この日の差し入れは、

コーヒーとバームクーヘンにした。

そういえば、前に来たとき、

TPPと農協のことを話したのを思い出した。

Tさんは、割と議論好きであったのを、

またまた私は忘れていたのだ。

か

で、予定通りというか、

畑で作業中のTさんに声をかけると、

にこにこして作業を中断、

休憩となったが、

程なく、

「○○さん、日本の人口って、

やはり減ってはいけないのですかね?」

旨そうにコーヒーを飲みながら、

畑を眺めている。

Tさんは、まず謎かけのような質問から来ることが多いのだ。

「ええ、まあ世間ではそういうことになっていますね。

福祉なんか特に…」

当たり障りのない私の受け答え。

「ふーん」

Tさんが続ける。

「あの、かんぽの宿の支出と、昔の社会保険庁から

消えたお金ってどこへ行ったのかね?」

うーん、やはり気を抜いている場合ではないな、と思う。

Tさんの言わんとすることがなんとなく理解できた私は、

「とにかく不明朗で無駄なものが多すぎますね」

し

と、たばこを一服しながらコーヒーカップを手にしたTさんが、

ニタッと笑う。

「人工増加が前提の税の仕組みとか介護って、

よくよく考えてみると少しおかしいと思いません?」

「………」

ついでに咄嗟に思いついたことを私は口にした。

「資本主義って、そういうもんなのではないですかね?」

「うーん、だけどね○○さん、

それだけではないおかしなことが、この国には多いんだよね。

私はそこんところが解せなくて…」

「ええ、明朗会計ではないことだけは確かですね」

「そうです、

北欧のように小さな政府ってどうですかね?

会計もすべてオープンにすることが基本ですからね」

「確かにおっしゃる通りです」

二人して、ぬるくなったコーヒーをすする。

そして農園をぼおっと眺める沈黙の時間が、

延々と続く。

こんなひとときが私は大好きだ。

帰りにTさんが、

椎茸を採って袋にいっぱいくれた。

こ

け

「いやぁ、こういう作業をしていると、

一日誰とも話さないこともあるんでね」

「そうですね、ではまた来ます、

お邪魔しました!」

良い景色を眺めると、疲れがとれるな~

帰りはいつも心が軽くなる訳です。

しかし、稚拙な我がアタマがフル回転しても、

何故か疲れないのが可笑しい。

その要因を探すも、

いまだ明快な答えはみつからない。

まあ、普段と違うアタマが、

突然目を覚まして活動するのだろうと、

私は勝手に解釈してはいるのだが…

お

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冬の彩

冬1

関東地方の冬は、晴れの日が多い。

日射しは低く、斜めから差してくるので、

かなり目が刺激されます。

なので我が家は冬でもオーニングを架け、

カーテンはなるべく閉めないで、

柔らかい光りを採り入れるようにしています。

この季節、降水量は僅かですが、

そんな雨降りの日は、貴重です。

外へ出たい気が削がれるので、

座り仕事、読書などに身が入ります。

ちょっと運動不足になりますが、

そんなときは筋トレに集中。

去年の冬は雪がよく降りました。

めずらしいので、夜、窓をそっと開けると、

ぼんやりと白い幻想的な世界が広がっていました。

翌日外に出ると、大変な積雪。

雪の積もった景色って、

やわらくてまあるいのが、いいですね。

冬に撮る写真って、

結局どれも基本的に寒そうですが、

晴れた日の暖かさとか、

ちょっと見逃しそうな幻想的な一枚が撮れると、

かなり嬉しいものです。

冬3

冬に撮れた春の兆し、

光りに満ちた色彩を探してみました。

冬4

冬2

冬6

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