ドラゴンは架空のいきもの、
西へ飛んでったのは、単なる雲の切れ端に過ぎない。
が、室内で始終下を向いて作業をしている身に、
戸外のすがすがしさは、解放感に満ち溢れている。
私は、閉所恐怖症の傾向があるので、広―いところ、
丘の上、山頂など、陸と空が遠くまで見渡せる場所に行くと、
言い知れぬ安堵とともに深い呼吸をしている自分に気づく。
空に、ドラゴンがいたっていいじゃないか。
空想は広がり、ドラゴンはある男の子の危機を救うため、
翼を大きく広げて、マッハのスピードで西へと飛んでいく。
ドラゴンは、きっと男の子の危機を救うだろう。
沼に沈みかけた少年は、ドラゴンとともに、
再び大空に舞い上がり、次々に困難を克服し、
そうして勇敢なおとなに育ってゆく。
これが、世界の子供たちを魅了する物語のテーゼだ。
これからも、このストーリーがくつがえることはないだろう。
少なくとも、童話の世界においては。
そんな話はすでにいくつも知っているし、読んできたのに、
ちょっと幼稚かもしれないが、僕はこのことを
「ネバーエンディング・ストーリー」から学んだような気がする。