季節、雑感

私が毎朝歩く散歩コースは、

四季の移り変わりが美しく、自然が豊かだ。

気が向くとカメラを持って出る。

腕がなくても、

そこそこ素敵な写真が撮れるのは嬉しい。

いま春爛漫。

景色にも華やかさと勢いがある。

山の緑も、いよいよ濃くなり、その濃淡は、

陽ざしと風により、幾通りにも変化する。

合間を山藤が盛んに薄紫の淡さを演出し、

先の山桜に代わる彩りを魅せる。

歩くと、そこかしこにツツジが満開で、

白から赤い花びらまで、多彩に咲く様が目をひく。

道端では濃いピンクの芝桜が敷き詰められるように、

家々の生け垣には、

モッコウ薔薇の黄色が朝陽に映える。

しかし、よくみかけた蝶々がいないことに、ふと気づく。

紋白蝶や紋黄蝶だ。

蝶々が減ったことは農家の方も言われていたことを思い出す。

夏のトンボも秋の赤トンボも然りだと言う。

先日、近くの立ち寄り湯へ出かけた際、

そこで働くおじいさんと話す機会があった。

丹沢の懐のような温泉場で、自然が色濃い。

が、このおじいさんが働き始めた20年前と較べ、

いまは野生の鹿や猪が激変しているという。

そういえば、とあたりを眺めておじいさんが言うには

夏の盛りも、蝉の声が以前より静かだということだ。

昔は、山々に反響するように鳴いていたらしい。

こうした話と同時に、

都会でも気になる現象は起きている。

ハクビシンというどう猛な小動物が、

なんと東京の街中にいるという。

民家の屋根裏に棲みついている様子を、

テレビカメラが追っていた。

また街中の家々を猿が逃げ回っている。

これもニュースの一コマだが、

どうも昔ではあり得ないことが起きている。

人と動物の暮らす領域の異変は、

山が貧しくなってきたことを、私たちに教える。

まあ、昔から乱開発の危険はずっと叫ばれてはきた。

農業でも、農薬の過剰散布は人だけでなく、

生態系への影響も懸念されてはいた。

こうしたツケが永年積み上げられ、

いま私たちは、難問を突きつけられている。

虫のいない森。

しんとした夏。

そして、山を諦めたいきものが畑を荒らし、

町へ街へと…

例年と変わらずに啼いているウグイスが、

木の枝を渡り歩く姿が、朝陽に光る。

今年も、燕が同じ軒先で雛をかえすらしいと、

その家の主人が世話をしている。

これだけで救われる気がした。

少しほっとする、朝の風景だ。

「季節、雑感」への2件のフィードバック

  1. ご無沙汰しております。
    っと言っても、ちょい難しくてノーコメントした時もありました(笑)
    散歩”””一緒に同行しているような気分になりました。
    こころの旅もした感じです。
    スパンキーさんの文才にうっとり!!
    いろいろなことを思い出しました。

  2. momo さん)
    ようこそ、当ブログへ!
    お久しぶりです。
    割と気楽なエントリーが多いので、
    ノーコメントなんかしないで、
    イージーに書き込みしてください。
    我が家は、田舎にありますから、
    四季の移り変わりも際立ちます。
    で、なにを思い出したのか、
    今度私に教えてください。
    コメント、ありがとうございます。

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