その景色は、晴れ渡る5月の限られた或る日にしか成立しない。
なぜなら、山の緑が陽に輝き、
花が咲き、鳥がさえずり、
適当に暖かく、そよ風が吹いて
すがすがしいと思えてはじめて成立する。
景色において、風や鳥のさえずりは
かけがえのない要素のひとつである。
それがたとえ見えるものでなくても、
やはり景色には欠かせない。
空気感とはそういうものなのだろうと思う。
宮ヶ瀬湖は神奈川県の奥まった所に位置するダム湖だが、
観光地としていまひとつ人気がない。
理由はいろいろ考えられるが、まずあまり知られていない、
ここがまず第一のポイントだと思う。
箱根や湘南のように、見所がいろいろあって飽きさせない、
いろいろなルートがある、という訳ではないし、
気の利いたお店がある訳でもないので、
いまひとつ吸引力に欠けるのも確か。
だが、季節と天候さえ整えば、
とても気持ちのいい場所である。
これは先日行って改めて分かったことである。
最近、観光地の嗜好も、
人それぞれに変化してきたように思う。
私は、箱根に例の噴火のことがあってから、
他に行けるいい場所を探したのだが、
結果、辿り着いたのが埼玉の秩父だった。
このことは知人何人にも聞いてみたが、やはり同じような意見だった。
また、できすぎた観光地・湘南ももはや面白くない訳で、
きっと千葉の名もない海岸沿いあたりに、
とてもいいところがあるような気がしてならない。
気持ちのいい場所の開拓、発見は、
やはりきっかけがないと気づかない。
名もないというか、人気がない、
または地元の人しか知らない
気持ちのいい場所というのは、
まだまだいっぱいあるのだろう。
先の宮ヶ瀬湖も、
季節と天候さえ整えば、
とても気持ちのいい場所なのである。
初めての山、高原、砂浜そして街並み…
知らないところへ出かけてみるというのは、
とりあえず小さな冒険のはじまりともいえる。
とにかく、まずでかけようでぱないか。