ユーミンはそのムカシ、
「中央フリーウェイ」という曲をヒットさせたが、
それを初めて聴いた私は、
そんな洒落た道がどこにあるのだろうと悩んだ。
(中央フリーウェイって道、走ってみたいな…)
が、ほどなく中央高速のことだと分かり、
なあんだと思った。
モノは言いようである。
また「天気雨」を聴いていたら、
そのシチュエーションに、
いちいちカッコイイなと感心したが、
なんのことはない。
ユーミンが住んでいた八王子から横浜線に乗り、
橋本で単線の相模線に乗り換えて、
茅ヶ崎の浜で、
もう分かれてしまいそうな彼と、
サーフィンを楽しむというような詞だった。
当時、私は横浜線の沿線に住んでいて、
茅ヶ崎へはよく通っていたので、
やはりここでもなあんだと、
割とガッカリした。
が、しかし、
やはり私のなかで、
ユーミンは東京の女の子の代表である。
ムカシから東京の女の子はいちいちカッコイイと、
その幻想は後年まで拭えなかった。
♫
あの人のママに会うために…
♫
で始まる彼女の「ルージュの伝言」という歌があるが、
詞のなかで、
♫
ママから叱ってもらうわ
マイダーリン
♫
なんていうのがあって、
なんだか奇妙な気がしたことがある。
この曲のなかのふたりが、
すでに結婚しているようにも思えるが、
私は勝手に、
東京の女の子は男の子とつき合うと、
相手のママとも懇意になるのか?
あと、彼のことをダーリンなんて呼ぶんだ…
そして若い頃、
単純な私がユーミンの歌を聴いて、
東京には、
まず金持ちと上流階級のご子息やご令嬢だけで、
不良なんかいないのだと勝手に決めていた。
その頃の私の遊び場は横浜のみで、
多摩川を渡って東京へ行くことは数えるほどしかなかったし、
東京はよく分からない、
金ばかりかかって面白くない、
東京の連中とは話が合わない、
そうしたイメージで固まっていた。
そんなこんなで、
東京の女の子はとにかく敷居が高かったのであるが、
或るとき、
その東京の女の子から、
幾度か東京の短大の学祭に誘われ、
おめおめと断ったことがあった。
いま思えば、
あのときのビビリが我ながら笑えるのだが、
若いときのローカルな気持ちは、
いまもどこかで引きずっているような気がする。
ヤンキーとかマイルドヤンキー論なるものが、
いま世間にまき散らされているが、
私もその一人なのかと、はっとする。
ヤンキーなるものがどんなものなのか、
私にはそんなアカデミックな話はどうでもいいのだが、
少なくとも、
私がローカライズされてしまった一因が
ユーミンにあることだけは、
間違いない!