世界の片隅から

陽が昇ると

太陽神はほうぼうを見渡し

誰それが何処でなにをしているかを

瞬時に知ることとなる

そして一息吐くと海神と世間ばなしをするが

つい愚痴をこぼしてしまう両者は

笑いながらも 夕方には

また深刻顔になってしまうのが

太古からの日課のようなものだった

やがて星々がまたたき始めると

月神が山神と話し込んでしまい

遠い銀河系の噂を小耳に挟んだりして

夜明けが遅くなったりするものだから

困ったものだと

朝つゆがぼやく

世界の営みはいつも

危ない綱渡りで成り立っている

放射能のいつまでも消えない恐怖が

一体どこにあるのだろう とか

酸素と二酸化炭素と窒素のバランスは

充分に保たれているか とか

ああ

またあの山を削りこの川を汚して

海まで毒を垂れ流しか とか

一体人はなにをどこまで傷つけ

いやそれが分からないほどに

追い詰められているということなのか

たとえば

浜辺で気持ちよく昼寝をしているウミガメに

誰がヒモを縛っていいと言ったのだろう

大統領や首相なんぞが偉いのでもなんでもない

将軍が勢力図を動かしているのではないことは

自明の理だ

だからミサイルが原爆が

誰が誰に

なにをしたかと問うてみたことがあるか

ではと

国境を取っ払って人種をまぜこぜにして

世界の平均化か

だが行き着くところ

結局私たちは

オトコとオンナとどちらが得か 強いかとか

つい下世話になってしまうのだが…

陽が昇ると

太陽神はほうぼうを見渡して

誰それが何処でなにをしているかを

瞬時に知ることとなる

そして一息吐くと海神と世間話をするが

つい愚痴をこぼしてしまう両者は

笑いながらも 夕方には

また深刻顔になってしまうのが

太古からの日課のようなものだった

やがて星々がまたたき始めると

月神が山神と話し込んでしまい

遠い銀河系の噂を小耳に挟んだりして

夜明けが遅くなったりするものだから

困ったものだと朝つゆがぼやく

世界の秩序は混乱していて―

宇宙の意志は

いま本当に困っているに違いない

※本稿は2006年10月にmixiに掲載したものを改編したものです。

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