雨に泣いている

柳ジョージを聴いていたら、なんだか悲しくなってしまった。

この人、死んでしまったし。

古い友達とか街並みとか、そんなもんばかりが浮かぶ。

そんなね、前向き、前向きって。

無理ですわ…

あのひとあのときなぁって、ひとつひとつ丁寧に

ストーリーが蘇るから、

アレコレ忘れられないことばかり。

最近では読むものも昔のものばかりで、

たとえば松本清張、初期作品に惹かれて読んでいる。

「理外の理」とか「削除の復元」とか。

どちらかというと大作の陰に隠れた名作で、

これらの中に大作家の性根がくっきりと表れる。

雲の上のひとでも、人並みに物欲があって、

見栄やジェラシーがあって結構せこいとこも持ち合わせて

なんだかふっと力が抜ける。

いまって時代は抜き差しならない。

清潔、正義、多数決。

そして偽物の制裁、圧力、胡散臭い正義の毎日。

そんなもんに背を向け、引き寄せられるのは、

色にたとえると、ブルー。

限りなく透明に近いブルー…でなく、

ラピスラズリの、あのブルー。

深みと雄大さと悲しみを、

その小さな塊のなかにいっぱいたたえていて、

スッとして清楚。

夢も希望もね、それこそあるけれど、

もうそこには華やかさもバラ色もありはしないし。

そんなに賢くない。

そんなに美しくない。

久しぶりの雨だよ。

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