彼女のロミオ

イタリアの北の町、ヴェローナへ行ったことがある。

中世の美しい街並みと石畳が印象に残る静かな町で、

中央に大きな河が横たわる。

河沿いの道をしばらく歩いて一歩横へ入ると、

シェイクスピア作の戯曲「ロメオとジュリエット」の舞台となった、

古めかしい建物が建っている。

意外とこぢんまりとした建物だったので、ちょっと驚いた。

庭には、ジュリエットの銅像が佇んでいる。

私は、他の目的でこの町へ来たので、

ここの事を友人から聞いて初めて知った。

皆がジュリエット像のふくらんだ胸をやたらに触るらしく、

そこだけやけに艶があって光っていたのを覚えている。

私は友人の付き合いできたので、

目的もなく、ただ町をぷらぷらしているだけだった。

いつしか暗くなってくると、アルプスから舞い降りてくるという粉雪が、

横から吹き上がってきて躰を冷やし始めた。

あまりに寒い。

私はコーヒースタンドに入って、エスプレッソで暖まることにした。

そこで思い出したのがオリビア・ハッセーがジュリエット役を演じた、

映画「ロミオとジュリエット」だった。

この人は、ただ可愛いだけでなく、美しさも兼ね備えた、

希有な女優さんだ。

いつ頃だったか、オリビア・ハッセーは布施明と結婚したが、

なんだかいつの間にか別れてしまった。

こうした話題自体、私は興ざめしたのだが…

最近になって、この一連の話を奥さんに話したら、

彼女も「ロミオとジュリエット」は印象深いらしく、

中学のときにこの映画を観に行った話をしてくれた。

曰く、あの感動はいまも忘れられない、という。

そうか、そういうもんかなと…

やはり奥さんも当時は好きな人がいて、

やがて付き合うこととなったが、

ご両親の猛反対で、頓挫しかけたことも…

で、最後は家出を決行したこともあるというから、

かなり情熱的。

ふーん。

で、家出は彼氏の説得で未遂に終わったが、

相手の彼氏も罪ではある。

ご両親の猛反対の理由は、映画と全く同じとはいかないが、

少し似通っていた。

家柄が合わないのがまずひとつ。

いや、映画では家同士の争いだったか?

まあいい。

そして、もうひとつの理由が、相手が不良だった、

ということらしい。

へぇ、それはしょうがないな、

と私が笑う。

「そうね、この年になると親の気持ちが痛いほど分かるわ」

と奥さん。

この人にとっては、その当時の彼が、

まさしくロミオだったと言うのだろうか。

ほぉ、思い出したよ、

それって、ほぼ俺のことじゃないのか?

「そういうことになるのかしら…」

……………

人は一生に一度くらい主役になれる!

※手前味噌なオチでスイマセン!

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夢中さ君に

同窓会

数年前、幼なじみから同窓会をやろうと言われた。

その後、他の友人からも同様の頼まれ事を受けた。

で、話を聞いていると、幹事はどうも私ということらしい。

うーん、なんで?

理由は、ワルにも真面目組にも女の子にも顔が利くから、

ということ。

で、そのまま放っておいて、数年後、

別の友人にその話をしたら、

「行かないね!」と。

でですね、最近またまた別の幼なじみに、

同様の話を持ちかけたら、やはりアッサリ断られた。

うーん、なんで?

いい思い出ないし、いや、そもそも記憶がないから…

うーむ、この年になると、

同窓会ひとつひらくのも難しいな!

夢中さ君に

大学ではなく、中学校はキャンパスとは言わないな。

で、その子は、運動場でまぶし過ぎた。

体育祭の日、400メートルリレーの選手として出場。

スリムな体にバトンを握りしめて、

先行く女子をアッと抜き去った。

カモシカのような脚。

ボーイッシュなヘアが揺れていた。

彼女に夢中になってから、僕のキャンパスライフは輝いた。

僕は水泳部。

3年のときの水泳大会は、絶対に負けられないと思った。

で、タッチの差でギリギリ一位にはなれたが、

彼女がこのシーンを見てくれていたのかどうか、

それがいまもって不明のまま。

最近、このことがいちいち気になるな。

悔いのない人生

終活が人気らしい。

終活とは、年喰って身の回りを片付けたり、

お墓を準備したり遺言を書いたりして、

いざというときのため、身ぎれいにしておくこと、

らしい。

備えあれば憂いなしということか。

入念な準備はよいこと。

と、そんな内容のニュースを観ていたら、

なんだか他人事のような気がせず、

悲しくなってきた。

「悔いのないようにしたい」と、

棺桶に入る体験をした年輩の方が笑いながら話す。

が、しかしこれを観ていて、うむと思った。

生きているとは、悔いることに他ならないんじゃないか?

悔いのない人生なんてね、

ないんだから、とね。

冬散歩

写真 4

写真 3

お久しぶりです。

景色評論家の冬景色宗介です。

今回は、冬らしい景色というテーマで、

写真を載せました。

皆さんもご存知のとおり、

いや、知らない方もいらっしゃいますが、

私は雪国暮らしではないので、銀色の風景とか、

そういうものは、今回はないです。

身近に撮ったものですので、神奈川オンリー。

簡単に撮影を済ませ、なお良いショットを撮る!

これが、セコイ景色評論家のですね。

今回は、湘南と少し奥まった山間部を狙い、

パシャといきました。

こうした景色は、四季を通して撮ることができます。

が、なんというか、冬はキーンというか、

空気感がちょっと違いますね。

冷たさは、画面に緊張をもたらします。

また、葉の落ちた木々や、危うい空の色でも、

冬らしさは際立ちます。

写真 1

さて、今年の冬は寒いので、

私はヒートテックのアンダーシャツを買いました。

ラクダのシャツも良いのですが、

高いしダサいし…

で、風呂場に簡易ミストを設置。

入浴3分前にONにすると、

おやっ、風呂場がほんわり暖かい。

いいですよー。

で、寝床には、湯たんぽですね。

最近の湯たんぽはプラスチック製なのに、

保温力が高く、朝まで冷めません。

皆さんもお試しあれ!

では、冬景色でした。

君に捧げるサンバ

年またぎ案件

12月決算としている弊社は、

毎年、年末になるとバタバタとしているので、

常々決算月を変えようと思ってはいたが、

もう己の変革のなさを諦めた。

で、年またぎ案件が10案件ともなると、

売り掛けも多く、処理の仕方も難しい。

双方の見解の相違もあるし、

決算書も見栄えが必要だし…

が、なにより正月にふっと思い出すのが、

この年またぎ案件。

興ざめだ。

陽のあたる暖かい部屋にスッと入ってくる隙間風のように、

ゾッとくるから、きっと心底休んではいなかったのだろう。

君に捧げるサンバ

久しぶりにサンタナを聴いたが、

やはり彼のギターはいいなぁ。

花をあげるのもロマンチックだし、

チョコをプレゼントするのも、

なんだかほのぼのとしている。

が、君にうたをあげるって、

なんてカッコイイのだろう。

サンタナは、アメリカのラテンロックバンド。

日本ではブラックマジックウーマンで有名だ。

独自の道を拓いたバンドだが、

そのやさしい音色という点では、

この曲が一番!

短歌

年初に短歌の本を購入。

以前から気になっていた俵万智さん。

サラダ記念日しか知らないが、

あの方って、実はかなり凄い人でした。

ずっと短歌の人である。

いろいろ難しいことも書いてある。

が、句を詠んでいると、なるほどと…

どれも味わいがあって奥が深い。

俳句は五七五だが、

短歌は五七五七七。

うーん、コピーとまた違った制約が。

で、私も一句。

年賀一枚

お元気ですか?の

走り書きに

今年こそ会おうと

心動いて

●君に捧げるサンバ

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良いお年を!

住まいの価値

住まいって棲み処、ですよね?

新築、中古、

大きい家、こぢんまりとした家。

マンション、長屋とかいろいろありますが、

誰と話しても、駅近。

これしか言わない。

この物差しでしか、住まいの価値を語らない。

通勤、通学、そして買い物でしょ。

私の場合は、まず景色。そして自然の眺望。

できたら、海の幸と山の幸が同時に味わえるような場所に、

居を構えたいって考えています。

ズレていることは重々承知の上なんです。

また、賑やかな所に住みたいっていう人もいますね?

私は、夜になるとシーンとした所が好みです。

あと、平坦な所にしか住まない友人がいますが、

聞くと楽だから、自転車が使えるからと。

確かにそうですね?

私はですね、山の中腹あたりが好みです。

で、金があったらログハウスを建てたいと思っています。

畑があれば、なお結構。

週に何回か下へ降りていって、漁師さんと物々交換。

こんな生活を夢見ています。

で、お前さ、どうやって喰ってゆくのよ?

との突っ込みが入るのは分かっております。

いまそれを思案中なんですがね。

アップルの質問

先日、気に入ったアプリがあったので、APPで買おうとしたら、

妙な質問がかえってきまして参りました。

IDとパスワードはキッチリ分かっていますが、

突然、あなたの中学校時代の親友は?

とくる訳です。

続いて、あなたの育った場所は?

うーん、親友の名を入れたのですが、

それがフルネームなのか、○○君なのか、

あだ名なのかすっかり忘れてしまい、アウト!

育った場所も県名なのか市なのか町名なのか…

最初の登録時にメモし忘れた私の不手際なのですが、

これって復帰にかなりの手間がかかるそうで、

結構憂鬱です。

それにしてもやるなぁ、アップル。

休みになると…

盆とか正月とかの休みに入ると、

必ず私は不調になります。

疲れがどっと出るのか、気を抜きすぎるのかは、

はなはだ不明なのですが、

歯がうずいたり、原因不明の頭痛に悩まされたり、

普段の耳鳴りが更に悪化したりと、ホント困っています。

ちなみに今日は頭痛ですが、

ブログを書いていたら少しづつ治ってきました。

一昔前の事ですが、

金曜の夜、仕事場からグアムやスキー場へ行って、

そのまま遊びまくって、月曜の早朝に職場へ直行、

なんていう人が結構いましたが、

凄いというか、さぞ楽な仕事をしているのかな、

なんて皮肉のひとつも言ってやりたいと思いましたね?

いま、そんな楽な職場ってありません(キッパリ!)

ザ・タイガース

ウチの奥さんは、大のタイガースファンでして、

それも野球のタイガースではなく、

グループサウンズのザ・タイガース。

ジュリーのいるアレです。

最近、年配の間でタイガースが再び盛り上がっています。

今年は、都合で行かせてあげられませんでしたが、

一応ヤフオクをチェックすると、2万円位の値がついていました。

NHKの紅白でもタイガースにオファーを出したそうなのですが、

断られたそうです。

ふーん。

沢田研二の太りすぎが原因か?

そういえば、テレビのコマーシャルを観ていて思うのですが、

往年のヒット曲がかなり使われていますね。

ここ数年リバイバルブームです。

というか、新曲が全然売れないそうです。

今夜は紅白ですが、観るかどうかって、

どうでもいいようなものになってしまいました。

私としては、拓郎でも聴いていたい気分なのですが…

では皆さん、良いお年を!

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マイ・ディスコ時代

横浜に生まれ育って、年頃になって、

さあ将来何になろうかと思案したが、

いろいろな誘惑が近づいてくるので、

一途にベンキョーしていた僕も、

急遽、路線を変更することにした。

で、とりあえず夜の街に繰り出し、

社会ベンキョーに熱中する。

ヨコハマ

時は70年代。

いつものように、横浜駅西口のソウルトレインへ。

スーパースターやパープルフィッシュが肌に合わず、

結局ここに通い詰めることとなる。

ここでソウルバンプを習得し、

踊りながら目当ての女の子へと近づくことを覚える。

まあ、駄目で元々だし、

こっちもたっぷりアルコールが入っているので、

フラれても全然平気。

即座に目標を切り替え、

仲間と一列に横並びでステップを踏んだりする。

だが、万が一うまくいったりすると、

そういう奴だけ、本牧へ移動。

ホントはゴールデンカップで踊りたい、

いや、リキシャルームで口説きたいのだけれど、

金は高いし店はお兄さんお姉さんばかりなので、

まだガキの僕らは、リンディで朝まで踊り明かし、

夜明けのコーヒーは関内のコーヒー屋で、となる。

熱々のホットドッグとでかいカップのミルクコーヒーを飲みながら、

これからどうする…?

ヨコスカ

横須賀サンタナⅡは、悪の巣窟のようなところで、

横浜からも遠い。

が、あっちの友達の熱いオファーもあり、

何度か通ったが、やはり横浜と勝手が違う。

場所柄、米兵も多い。

が、奴等が皆踊りがうまいかといったら、

そんなこともなく、

やはりそこは国や人種がどこだろうと、

うまい奴がうまい。

おっと、地元の奴等が固まっているぜ!

暗闇では、黒人の兄ちゃんの目だけが異様に浮かんでみえる。

ちょっと雰囲気、違うな…

長居は無用。

人でごった返すどぶ板通りをすり抜け、

愛車に戻ると、

見事にボンネットが凹まされている。

やはり浜ナンは狙われてるなぁ。

クソ~と思うが、雰囲気がヤバイ。

遠くから数人がこっちをじっと観察している。

さっさとR16を全開で北上。

磯子辺りまで戻ると、まあ無事に帰れたなとなる。

ヤマト

R246を西へ。

数台の薄汚いシャコタンがつるんで走る。

近くて遠い大和へ仲間と遠征することと相なった。

浜ナンが相模ナンバーの地域で爆走だ!

そっからしてかなりまずい予感がするが、

僕らの目的は、厚木基地横のシルバースワンで踊ること。

暗がりにクルマを止め、

みんなでゾロゾロと店内へ。

一挙に店の空気が変わるのが分かる。

予想どおり、地元の兄さん方が固まっている。

で、横須賀と同様、米兵さんもズラリ。

さあ、これから何が起きるか分からないが、

まあそこは、しらばっくれるのに慣れている我らが、

まわりに愛嬌を振りまいてステージへ。

おお、懐かしのゲットレディがかかっているのに、

誰も踊っていない。

楽しもうぜとの暗黙の決め事があったので、

何かを仕掛けられるまで、とにかく踊って楽しむ。

が、敵も慎重なのか、我らのステップにじっと見入っている。

だいたい拮抗した同士ってぶつからないんだよね。

汗と冷や汗と…

やれやれとみんなで地元に帰り、

真冬にもかかわらず、ほてったカラダをビールで冷やした。

P.S

いま、お茶を飲んでいます。

やはり緑茶っておいしいですね。

今日は仕事納めということもあり、とりあえずほっとしています。

今年は夏から体調を崩し、皆様には多大なご迷惑をおかけしました。

この場を借りてお詫び申し上げます。

さて、今年もあとわずかとなりましたが、

年内にやるべき用は済ませそうですか?

年賀状は? 手帳の書き換えは?

そして、来年の抱負は?

最近は世の中を見回しても、

ムカシの時代状況とを比較しても、

厳しい時代を生きている感がある私たちですが、

元々私たちには、平坦な道は用意されていないと思います。

辛いから、楽しい。

嬉しいから、悲しい。

悔しくて、だがやがて春がくる。

そんなイメージでしょうか?

来年こそ!

みんなで夢を引き寄せましょう。

よいお年を…

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バブル狂騒年表

竹の子族

駆け出し編集者だった私は、ネタ探しに奔走していた。

あるとき、原宿に変な格好をした集団が、

毎週末集まっているという情報をキャッチ。

早速、カメラマンと一緒に原宿へ!

と、そこには原色のハーレムスーツを着た集団が輪になって、

不思議な踊りを踊っていた。

カメラマンが夢中で写真を撮る。

私がみんなに取材を開始する。

程なく、皆不機嫌な顔で、私とカメラマンを取り囲む。

「おめぇら、勝手に話しかけたり写真なんか撮るんじゃねーよ!」

族とか不良集団とは、明らかに違う臭い。

まあまあとなだめながら、取材続行。

撮影が進むにつれ、次第に皆ポーズをとりはじめる。

こいつらイケルナ、クルナと思いました。

ポカリスエット発売

酒を飲んだ後にポカリスエット。

暑くて汗をかいた朝にポカリスエット。

もちろん、スポーツの後にもポカリ。

と、ポカリにハマった友人がいて、

なんと、ひと夏に3キロ太ったという。

スイカ汁のような味。

甘いんだかうまいんだか、舌が理解できない味。

当時、あの飲み物の志向が、私たちにはさっぱり分からなかった。

喉が渇いたら、せいぜい水とかジュースだった時代。

水分の質とかバランスといわれても、理解できない。

糖分と塩分がなぜ必要なのか?

いまでは当たり前になった考え方の元が、

この頃新発売された。

確か、ポカリって当初は苦戦を強いられていた。

東京ディズニーランドオープン

ディズニーは、幼い頃から慣れ親しんでいたので好きだったが、

あの湾岸を埋め立てた場所には、一切行かなかった。

東京とは名乗るも、場所は千葉。

ああ、ミッキーもドナルドもダンボも、

動いて私の目の前にあらわれてはならない…

あれは、キンダーブックのなかの私だけの世界なのだ。

子供を連れて行く行かないで、奥さんと何度となくもめた。

結局私は、いまだに行ったこともないし、

相変わらず、行きたいとも思わない。

が、映画「クリスマスキャロル」のスクルージ(ドナルド)は、

いまでも好きだなぁ。

ファミコン登場

息子とスーパーマリオ・ブラザースにはまる。

最後のゴールでの怪獣との戦いは、かなり手に汗だった。

また、ドクターマリオというゲームもあって、

同じ色のカプセルをうまく並べないとアウト。

瞬時の判断がゲームを左右する。

これは奥さんと何度も対戦。

明け方に終わることもしばしばだった。

いつ寝ていたのだろうと振り返る。

やはり若かったからかなぁ。

当時はビックリマンというシールも流行っていて、

このシールに勝てる企画をと、

某広告代理店より話が持ち込まれる。

企画料10万円也。

破格の安ギャラ。

不まじめに考えた末、その企画も泡と消えました。

日産の高級車シーマがバカ売れ

夜の六本木で安い酒を飲んでいて、

気がつくといつも深夜。

こうなると、まず朝方までタクシーが捕まらない。

空車がないのだ。

どいつもこいつもタクシーに乗って帰る。

そんな時代。

うしろを振り返りながらテレ朝通りを歩いていても、

通り過ぎるのはBMWばかり。

いま思えば、変な風景でした。

休日に、地元・横浜の友人が遊びに来るという。

で、乗ってきたクルマがシーマ。

後部座席に座ると、

なんと車内に怪しい色のルームライトが、ふわぁと光っている。

ソファなんかフカフカだ!

私はオフロードバイクが日常のアシだったので、

ホント、驚いてしまいました。

ハウスマヌカン

出版社を辞め、何度か転職を繰り返し、

辿り着いたのが表参道にある広告制作プロダクションだった。

青山通りを歩いていると、どの子も黒づくめの服ばかり。

アパレル関係もDCブランドとかが出てきて、

女子服もまた活気に満ちていました。

で、そんなお店で働く女の子のことをハウスマヌカンと呼んだ。

辛そう、どこか寂しそうというのが私の印象。

ヘア・スタイルは皆決まってボブヘア。

コシノジュンコさんあたりのマネだったのでしょうか?

売れ始めた頃の林真理子さんが、やはり同じような格好で、

よくあの周辺を歩いているのを見かけました。

「夜霧のハウスマヌカン」という歌がちょいヒット。

やはり暗いメロディーと歌詞でしたねぇ。

ボディコンシャス

東京のウォーターフロントとかが注目され始めたのも、

この頃でしょう。

有明にでっかいディスコができて、

毎夜、狂ったように女の子が踊っていたようです。

六本木のロアビルも賑わっていました。

このビルに何度か通いましたが、

そうですね、私の知っている古いヨコハマ・チャチャは、

もう誰も踊ってはいませんでした。

で、躰にピッタリのボディコンワンピースは、

なんだか原色とアニマル柄が多かったように記憶しています。

「オトコって、要するにアクセサリーなのよ」

こんなことをほざいている女子がかなりいましたねぇ。

女性がどんどん変わってゆく、

そんな潮目に立ち会ったような気がします。

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考えない技術

先日、地下鉄丸ノ内線の新宿駅のホームでボオッーとしていて、

不意に或る考えが浮かび、急に怖くなったことがある。

それは、ホームの天井がやたらに汚ないのと異常に低いことで、

妙な圧迫感を感じたことが事の発端だったように思う。

いまここで地震や火事が起きたら?

とつい考えてしまったことだった。

まわりを見ると、皆のんきにスマフォなんかを眺めている。

とっさに、いま私は地下何階にいるのかを考えた。

分からない。

そしてどちらの方向に出口があって、その先はどうなっているのか?

それも分からない。

それまで私は、昼メシに何を食おうかとか、

そんなことを考えていたのだが、

そのへばり付くような嫌な考えに、

急に食欲も失せたことを覚えている。

思うに、急な事態に対処できるよう、

常に気を張る事は必要だろうが、

リスクヘッジも度が過ぎると日常生活に支障をきたす。

ほどほどのバランス感覚があれば、

そんなことは、取るに足らない話なのだろう。

が、田舎暮らしが永くなった私は、

急に起きた事態に、

そのバランスが取り戻せなかったというべきか。

で、勝手に、

都会人はきっと何も考えない技術を身につけているのではないかと、

推測してみた。

良くいえば、

先のバランス感覚をも習得しているなと思った訳である。

話は飛ぶが、

かつて「考える技術、書く技術」という有名な本があった。

文章を書くためのアイディアの出し方やメモの使い方、

目標設定の方法など、とにかくその方法が事細かに書かれている。

実践向きの元祖ノウハウ本といったところか。

私も、この本を読んことがあるが、

実践的思考法としては面白かった。

本屋のビジネスコーナーやアマゾンを覗いても、

こうした本は常に売れているようで、

未だに類似本も数多い。

かように、「考えよう」と啓蒙する本は多い。

が、いまの私が欲しいのは、

何も考えない技術、書かないで済む技術だと思った訳だ。

最近、目が辛いので、

まず書かないで済ますには、

手っ取り早くこの仕事を辞めることなのだろうが、

それはいま現実的に無理なので、

せめてぺらぺらとしゃべって事足りるよう、

仕事の方向性を変えることと考えた。

例えば、レポート他、書類を提出しないコンサルタントとか、

人前で話すのみのセミナー講師など。

これとて、相当のスキルが伴うが、

場数を踏んでいくいくうちに、

私自身がテープレコーダーのようになれるような気がする。

いや違うな。

この稿で私がホントに書きたかったのは、

「考えない技術」についてのノウハウについてだ。

考えない技術。

もちろん、文字通り考えなければ良い訳なのだが、

気がつくと、人は常に何かを考えている動物である。

楽しいことを考えるのは、文句なく良いが、

人生はアレコレと悩みがつきまとうものである。

難しいことや怖いこと、空しいことや辛いこと。

気がつけばどうでもいいことまで、こねくり回して考える。

先の丸ノ内線の事例なんかは、その最たるものである。

さて、人となんだかんだと話してみても、

余計な考え事に関して、

皆似たり寄ったりということだった。

実は…と、同じような事を言う人が多いのに気づく。

普段は皆一様に話さないだけなのだ。

故に人は悩み深く、

その業は更に深いと言わざるを得ない。

ロクなことしか考えないことを、雑念などと言う。

また、払い切れない雑念を煩悩と言い、

人は常にいろいろ悩んでいるのである。

で、冒頭の話に戻るが、

考えない技術のような本がどのくらいあるのか、

ちょっと調べてみた。

と、「考えないトレーニング」とか「考えない論」、

「考えないヒント」とか、やはりいろいろある。

更に、「考えない練習」という本もあった。

これらの本を要約すると、

人は考えるだけでなく、うまくアタマをリセットして、

時に感じることも大事だとの主張が多い。

うーん。

これは、映画「燃えよドラゴン!」で、

ブルース・リーが弟子に語った名セリフだ。

「考えるな、感じろ!」と。

カンフーもまた、考えない修行らしい。

でである。

考えない…の関連項目を追ってゆくと、

予想どおりというべきか、瞑想とか座禅、

そして宗教色の強い書籍がずらっと並ぶ。

こうした話は、結局のところ、

来るべき所へ来るのだなと、私は思った訳だ。

どんな道も、辿り着くのは、やはり最終的にこの辺りなのだ。

で、これらの書籍を修行と思って、

読んでみようかと思ったが、

やはりやめることにした。

きっとと言うべきか、

メビウスの輪のような矛盾に陥るのが、

関の山に違いないのだ。

で凡人よろしく、凝りもせず、

今日も煩悩に振り回されている私だが、

こうして死ぬまでジタバタして生きてゆくのが、

人といういきものの業なのだろう。

余話として…

甲斐犬

ホームセンターに用があって出かけた。

広大な建物なので目的のものがなかなか見つからない。

ふと、ペットコーナーの前を通り過ぎる。

見れば、ガラスで仕切られた狭い場所に、

幼犬がそれぞれに落ち着かない様子で、こちらを見ている。

皆、文句なくかわいい。

がしかし、不安になる。

それは、体が大きくなってしまった一匹の黒い犬の姿だった。

どの犬も、そもそもそんな檻にいてはいけないと思う。

とりわけ、その黒い犬は、反抗的な目でうろうろしている。

黒い毛並み。日本オオカミのような容姿。

「甲斐犬」と名札に書いてある。

甲斐犬といえば、狩猟犬だ。

ふさわしくない檻に閉じ込められているのが、

痛々しい。

その反抗的な目に、愁いが滲み出ている。

怒っているのか、泣いているのか。

きっと、甲斐犬の血が、

まだ見たことのない南アルプスを懐かしんでいる。

198,000円の甲斐犬。

彼は、この先、きっと誰にもなつかないだろう。

モーニング

先日は、息子の結婚式で、

人生初のモーニングというものを着た。

タキシードではなくモーニング。

試着のとき、チャップリンを思い出した。

ペンギン姿のアレだ。燕尾服。

我ながら、ちょっと笑える。

が、本番の日にそんな余裕はなかった。

ダブルカフス、ウィングのスタンドカラー、

シャツバンド、サスペンダー。

普段は使わないものを身に付けたので、

どうも居心地が悪い。

式場への行き帰りも、

久しぶりにスーツにレジメンタルタイを締めたので、

どうにも疲れる一日だった。

後で聞いたら、奥さんの留め袖の着付けと髪結いは、

更に大変だったらしい。

が、この日の主役は、当の新郎新婦たち。

本当にお疲れ様でした!

クリスマス

私の住む住宅地の隣は新興の住宅街で、

新築の家が建ち並んでいる。

若い人が多いのだろう。

夜、クルマで通ると、

早々と、クリスマスのイルミネーションが光る。

サンタ、トナカイ、星のカタチをしたものが、

夜の住宅街に映える。

この季節になると、

小さい頃、毎年、

お袋に連れられて出かけた横浜の商店街を思い出す。

街は、歳末大売り出しとかで、人でごった返している。

お菓子屋に、キラキラした赤と白の長靴が、

幾つもぶら下がる。

ジングルベルのメロディーが割れた大音量で流れ、

ガラガラポンの抽選会に、ぞろぞろと人が並ぶ。

お袋は大量の買い物を済ませると、

最後に必ず私に、

新しいジャンパーとサンタの長靴を買ってくれた。

先日、息子の結婚式の翌週は、

お袋の一周忌だった。

お経を聞きながら、

それは悲しいというより、或る安堵感だった。

あまりにも慌ただしい年だった。

それが、今頃になってふと寂しさが忍び寄る。

これも人生の節目のひとつなのだろう。

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副産物

目を患い、かなりの不自由を強いられている。

パソコンを見るのが辛い。

クルマの運転に支障をきたす。

目薬を決まった時間に頻繁に差さねばならない。

たまに頭痛がして、憂鬱になる。

充血、そしてモノが見づらくなる。

目の大切さ、重要さを思い知らされた。

永年酷使した報いなのだろう。

現在は、パソコンを見る頻度を最小限にして、

運転も控えている。

最近は、クルマではなく、電車もよく乗る。

おかげで、遅まきながらパスモを持つこととなり、

その使い方も最近知った次第。

車窓からの景色を眺めていると、

なんと初冬の日射しが差す情景の美しいことか。

車内に流れるアナウンスもディスプレイも洗練され、

隔世の感がある。

実は、若い頃から電車が苦手だった。

特に、混雑した電車。

一度、極度の疲労で車内で倒れてから、

永年、トラウマを抱えていた。

が、最近ではそれも薄れてきたようで、

なんとかやり過ごすことができるようにまで回復。

景色を楽しむまでになった。

先日は、小田急、相鉄、東横、大井町、田園都市線と乗り継いで、

首都圏を回った。

疲れたら、目をつむれば良い。

クルマの運転だったらそうはいかない。

今度は、箱根登山鉄道に乗ってみたいと思っている。

スイッチバックの電車、

そして、芦ノ湖を見下ろすロープウェイは壮観だろうと思う。

そうだ、永年のクルマニアを卒業し、鉄男にでもなろうかな。

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