秘湯などと謳うとなんだかあやしくなるが、
要は宣伝不足、露出していないということか。
楽天トラベルにもじゃらんにもるるぶトラベルにも載っていない。
よっていつも空いているのか?
のんき、閑散としていると思いきや、
マニアはどこにもいるもので、
そこそこ人が出入りしているし、
泊まり客もしっかりいるから営業している訳らしい。
小田急線本厚木駅からクルマで30分くらい。
丹沢山塊の東の端、芽吹いた木々に覆われた山々を走ると、
綠がやたらと濃くなる。
あたりは七沢温泉。
ここは何度となく通っているが、
今日は更にその奥をめざす。
広沢寺温泉は、深い山あいのなかにひっそりと佇んでいた。
クルマを止めると、清流のせせらぎがきこえる。
竹林が旺盛に育った小径を歩くと、
一軒の宿に辿り着く。
要はここしかない。
玉翠楼の古い看板を括って宿に上がると、
初夏の暑さだというのに館内はひんやり。
建物は昭和初期かはたまた大正、明治か。
古いといえばその通り。
レトロといえばそうも言える館内。
私は、「立ち寄りの湯」のみなので、
風情を楽しんで1000円ポッキリは安い。
更に割引券をくれるので、次回は500円ですむ。
ありがたいなぁ、また来よう。
露天風呂は脱衣所も完全オープン。
丸見えなので、同性でもそういうのが嫌な人には向かない。
私はどうでもいいタイプ。
さて湯に足を浸けると、
柔らかくてちょっとぬるっとしている。
天然の化粧水のような感じか。
熱っ!
と、奥にぬるめの湯があるのを目視。
やっと腰を沈められる。
ちょっとほっとするなぁ。
岩風呂に寝そべってあたりを眺めると、
竹林が風にそよいでいる。
横を流れる川の水音が心地よい。
なんだか平和な気持ちになれる。
と突然、自撮り棒をもった若いのが二人、
洗い場で記念写真を撮り始めたので、
アタマを洗っていた私が「おいおいおい」と発すると、
驚いた二人がへらへらしながら、なんだか謝っている風。
よくよく耳をすませると、どうも韓国語らしいので、
こっちは意味不明。
にしてもよくこんなマニアックな温泉をみつけたもんだ。
思わず笑ってしまいましたね。
この兄ちゃんたちとは、お湯が「熱い」という話しかしなかった。
だってそれ以外、お互い言葉も通じないしね。
で、しっかり浸かって露天から上がると、中庭で一休み。
池の茂みからひらひらとしたトンボが飛んでくる。
飛び方が下手だなぁ。
これってもしやガキの頃に見た、あの糸トンボか?
あまりの珍しさにちょっと感激、
フツーに飛んでいる様に私は驚きました。
コーヒーを頂いて再び館内に入ると、
至るところにイノシシの置物が置いてある。
よーく眺めていると、有名人のサイン入りの色紙も、
ズラッと飾ってあるではないか。
もしかして、ここってかなり有名?
メジャーな旅館なのかと思い直すも、
この温泉の立ち位置がよく分からなくなった。
あっ、吉永小百合の色紙をみっけた!
おいおい、ここは丹沢の秘湯ではないのか?
いまもってよく分からないのです。