アメ車とロックとトランプ大統領

トランプ大統領は自動車産業をやたら気にしていますね。

日本車はアメリカで人気、売れていますから。

アメ車は日本ではイマイチ売れません。

アメ車はかっこいいとは思いますが、どうもデカい。

細い道では困るし、燃費も良くない。

過去にクライスラーのジープを買う寸前までいき、

その値段ならもう少し出せばスエーデンのボルボが

買えることが分かり、ジープをやめたことがあります。

いろいろ惜しいアメ車なのです。

東京で仕事をしていた頃は、

フォードブランドのフェスティバという車のプロモーションを

手伝っていました。

フォードブランドとはいえ、エンジンはマツダ製。

一応、アメ車ですが小型でヨーロッパ・デザインの車。

戦略的には面白い車でした。

特徴は、幌製のオープントップが付いていて、ちょっとおしゃれ。

屋根が開く他は、フォードのエンブレムが付いていて、

そこそこ売れたように思います。

しかし、小型車が強い日本市場で生き残るのは難しい。

後にフォードはフィエスタという世界戦略車も出しましたが、

後に衰退しました。

やはりアメ車はあのデカくて押し出しの強いボディが、

特徴というか魅力だと思いますので、

セールスを考えると相反してしまうという、

妙なパラドクスに陥ってしまいますね。

欧州も小型車の作り方は上手く、

(たとえばVWワーゲン、プジョーなどにみられるように)

やはりアメ車が入る余地はありません。

大型車でも、向こうはベンツやアウディ他、

ドイツ車を筆頭に強者揃いなので、なかなか勝てません。

しかし、ピックアップトラック、バン、四駆などは、

ハーレーと同じく、アメリカらしい魅力があるので強いのですが、

市場が限られる。要は市場のパイが小さいのです。

キャデラックやリンカーンもたまに近所の国道で見かけますが、

絶対数は少ない訳で、そこがトランプ大統領の不満なのでしょうが。

トランプ大統領をテレビで見ていると、

あの押しの強いところがアメ車とダブります。

受ける奴にはとことん好かれる、

しかし、癖の強さから敬遠する人間も多い。

良くも悪くも、アメリカのイメージって、

そういうところかも知れません。

戦争も平和運動も、その懐の広さを思うと、

世界一の善と悪が凝縮している国がアメリカという国と

言えなくもない。

アメ車が富の象徴であった頃、

トランプ大統領もまた古き良きアメリカで、

青春をエンジョイしていたのでしょう。

カーラジオからはカントリー&ウェスタンや

アメリカン・ロックが流れ、

ベトナム戦争で疲弊していたとはいえ、

アメリカは依然、世界のナンバーワンであって、

富は集中し、生活のレベルもやはり世界屈指であった訳で、

映画も音楽もアートもアメリカ発が圧倒的に多かった。

(ビートルズやローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリン、

名画の映画音楽などは欧州発ですがね)

そんな時代に年頃だった日本の若者もまた、

海外の文化、とりわけアメリカ文化をモロに浴びたので、

老齢にさしかかったいまでもその傾向は拭えない。

よって、アメリカの遺物は依然としてこの日本にも漂っています。

カントリーソング、そしてベンチャーズが日本で流行ったあたりから

ジャズもソウルもフォークも大量に次々に輸入されるようになり、

日本の文化などへの影響は

良くも悪くも計り知れないものがあります。

とりわけ、こちらはなんでも吸収してしまう年頃に、

クリーデンス・クリアウォーター・リバイバルのようなグループから

ステッペン・ウルフ、そしてカリフォルニアあたりを舞台にした

ロックを大量に吸収してしまい、

妙に偏ったアーティストが青春の思い出になってしまいました。

なかでも、私的にイーグルスは印象が強く、

名曲のホテルカリフォルニアはもちろん、

それを遡ると、

ジャクソン・ブラウンがつくった「テイク・イット・イージー」が

やはりイーグルスの原点のように思いますね。

さらにその源流を辿ると、

ジョン・デンバーやウィリー・ネルソンなど、

カントリー&ウェスタン系アーティストがごちゃごちゃとでてくる。

こんな時代に流行った歌が、

アメリカという国の原風景なのだと、

今回の大統領選を見ていて感じました。

広大な土地に、ピックアップトラックに、地平線まで続く小麦畑。

それは決してニューヨークやロスなどの都会ではなく、

アメリカの片田舎のガソリンスタンドのラジオから流れる、

砂にまみれたスローなカントリーソングだったり…

トランプ大統領がいま必死に取り戻そうとしているのは、

こんなアメリカの風景なのではないのかと思うのですが。

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