プレゼント

眠れない夜は

ベッドを出て

ラジオを点けよう

一局くらい

気の効いた音楽が

流れてくるかも知れないね

ああ
体が冷えるといけない

熱い紅茶を入れて

日記でも広げてみたら?

日付を徐々に遡り

過去の自分を振り返るといいよ

もう忘れかけていた

あの日の自分は

随分と自信がなかったと

改めて思ったりするだろ?

あの映画は良かったなんて

思い出すのもいいし

こうして夜中に日記を読み返すことを

暇だからと考るのも手だ

呑気な時間が流れている

退屈な時間が過ぎてゆくと

考えてみる

だが果たしてこれは

時間の無駄使いなのかな?

遠くで

夜の空に向かって

何かがゴーッって鳴り響いている

国道からクルマのエンジン音が

聞こえるかい?

庭の虫も鳴いていない夜

けれど

夜は饒舌なんだ

夜は話しかけるんだよ

たとえば

夜は絶望にこたえる

夜は思慮に付き合ってくれる

希望すら簡単に壊すけれど

でも夜は必要なんだ

深遠な時間

辛い訪れ

孤独の影

君が君で或るために

僕が僕で或るようにと

夜は祈ってくれる

独りが総てで或るために

人が人を知るために

夜は

創世主からの意地悪で堅実な

そうさ

夜は

とびきり素敵で冷たいプレゼント

なんだと思うよ

(この詩を、眠れない夜の君に贈ります)

「プレゼント」への2件のフィードバック

  1.  
    スパンキー様
    すごいです!
    ここのところ、書かれるものが、ものすごく深くなっているように感じます。
    「夜」 というものを捉える視点が、詩としての美しさを持ち、哲学としての深みを持ち、読者の心をどこまでも飛翔させていくような力強さを持っていますね。
     
    スタート地点を 「コピーライター」 に定めたスパンキーさんの言語感覚の研ぎ澄まされた一面を見させていただきました。
     

  2. 町田さん)
    町田さん、ホメゴロシは勘弁ですよー。できれば、もう少しキツイアドバイスをお願いします(笑)
    で、ですね、私も幾度かこの症状を経験したことがありまして、辛いんですね?神経系統に良くないです。
    私はこんなとき、終いに開き直り、上のとおりにラジオを聴いたり、仕事をしたりして、努めてポジティブにしちゃいました。
    で、寝る場所も寝室のベッドでなんて堅いことは言わずに、どこでも寝る癖をつけて、寝たいときに寝るんだとテキトーにやっていたら、居間で寝る癖がついちゃいました。あと、昼間に寝てしまうという癖も併発。いまは治りましたが、いろいろな人の話を聞くと、ホント辛そうです。
    で、夜ですね?
    僕は、太陽の隠れる夜って、ちいさい頃から言い知れない恐怖をもっていまして、それが思春期に治って、今度は夜しか活動できない時期がありまして、受験勉強と被った時期でもあり、一人で朝まで起きていると、ホントに不思議な事や、昼間では考えられない思考に陥ったりする。これは、僕の想像力をかき立ててくれました。
    いまでも、夜にボケッとしていたりするのは好きです。なんたって、自分と向き合えますから。
    一人になるって、とても大事なことだと思っています。
    コメント、ありがとうございます。

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