日々文句異議アリ

回転寿司

あのめまぐるしく、せわしない回転寿司で、

それぞれ五つの醤油が並んでいるのが贅沢そうなので、

一応それぞれの味をいちいち舐めてみるも、

まるで味が分からないのは何故?

思うに、気分はまわるおどる寿司に夢中で、

醤油なんぞ味わう余裕も舌もなく、

とりあえず北海道の日高昆布醤油がいいなぁと思ってしまう自分の舌を、

どうしてくれよう。

住宅展示場

住宅展示場にモデルハウスを見にいくということは、

いわばクモの巣に飛び込む虫と同じであると。

どんな家が好みかなんて、

一目で選別できるほどの目が利く訳もなく、

営業マンが良いことずくめを話しまくるも、

モデルハウスを見るにつけ、すげぇなぁと…

結果、個人情報が丸見えで、

後々まで追いかけられるのがオチである。

シンガーソングライター

地方の民謡演歌のようなものが混じった

斬新なシンガーソングライターの姉ちゃんのライブを聴いてしまい、

それが脳みそにこびりついてしまってアクが抜けないまま

買い物を続けるも、

ダウンパーカーもGパンも、みんな醤油臭く感じてしまい、

駄目だ今日は買うのよそうと休日を無駄にしてしまったと思うも、

まだあの甲高い声がアタマに響き渡る。

おでん

たまにはコンビニで熱々のおでんが食いたくなるも、

あれだけ人の出入りの激しいところで煮込んでいる食いものってどうだろうと思案するも、

なんだかホコリとか咳払いした親父のが飛び込んでいたりと想像するに、

やっぱりやめたとなり、いつものカレーピザマンを買うも、

このまんじゅうの皮は泡みたい、という食感にああそうだったとまたゲッソリ。

ここはやはり冷えたつめたい突き放されたようなおにぎりで決まり!

SEKAI NO OWARIが、イイネ!

このグループに対する好き嫌いは、

かなり激しいらしいと、誰かに聞いた。

その賛否の訳は分からないが、私は好きだな…

初めて聴いたときから気になっていた。

繊細かつデリケート。

なのに、これから生きていくゾ、

という若いメッセージが込められている。

歌の中の「冒険」は、

ゲームの世界とリアル世界と、

両方に架けた様でもある。

映像も観たが、

彼らの創るものはとてもファンタジックであり、

それがゲーム的、映画的であると同時に、

或るひとつのストーリーを産みだしているところが、

他のアーティストにはみられない特色だ。

プロフィールもチェックしたが、

やはりメンバーの一人がいろいろ患っていて、

他のメンバーが彼を助けている。

世界の終わり…

患ったメンバーは、ホントにそう思ったことがあるという。

そこからの出発。

だからSEKAI NO OWARIというグループ名は、

彼らの起点でもある訳だ。

いつの時代も、まわりを威嚇し、

粋がっている奴がいて、

その対局に、

教室の隅で背中を丸めている子がいるのが、

若いときの常である。

このグループは、

その怯えている仲間同士とみえなくもない。

が、手をたずさえ、

共に生きていこうという結束が、

彼らのメッセージでもある。

一人じゃ無理だけれど、信じ合える仲間となら…

圧倒的に弱いのだ。

しかし、突出して生きる強さが伝わる。

誰だって少なからず、

その狭間を生きているのでないだろうか?

ファンタジックな魔法のなかから、

リアリティーな世界が、スッと顔をのぞかせる。

その世界観は、そうそう創れるものではない。

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恋はみずいろ

幼いわかれを携えたまま

僕は地元の中学へと入学した

相手の子は電車に乗って

遠い有名中学へと通ったらしい

初めてのわかれのようだった

ようやく

そんな悲しみも消えかけたころ

僕は偶然

校庭でみかけた女の子に

恋をしてしまった

同じ学年だったが

僕はその細身の子を

初めて見たような気がした

髪を肩まで伸ばし

先がくるっと外側に跳ねている

黒い魅力的な瞳が印象的だった

陽が

校舎を赤く染めた或る放課後

僕は意を決して

その子に話しかける

キシキシッと鳴る長い廊下を走り

背後から

僕はその子に声をかけた

必死だったので

僕の息は切れかかっていた

「あの、ええっと

こんにちは!

あの…

このレコード知ってる?」

「えっ、なに?」

その子の腰が退けた姿に

僕の喉は

よけいにカラカラになった

「あの、こ、このレコード、

知っています?」

「これ、ええ、知っているけれど…」

「良かった!

じゃあ、これあげるよ」

「エッ!」

その子は栄子という名だった

髪を触りながら

黒い大きな目を更に大きく

まるくした栄子さんが

レコードに触れながら

呆然と僕を見ていた

それからのことは

よく覚えていない

とにかく

僕は栄子さんにレコードをプレゼントすることに

成功した

僕はとにかく走った

気がつくと

仲間に頭をこづかれたり

撫でられたりしていたから

なんとか無事に教室に戻ってきたんだ

「ついにやったな!」

「…駄目だよ、やっぱり無理。

あんな綺麗な子…」

「そんなことまだ分からないだろ?」

「………」

その頃

僕はいろんな音楽を片っ端から

聴いていて

ラジオから流れてくる曲や

流行のレコードならなんでも知っていたし

お小遣いのすべてを

録音機器やレコードにすべて費やしていた

栄子さんを初めて見かけた

あの運命の日も

僕はそのときめきを

どう表現しようか迷ったが

結局その表現方法も分からず

ふと思い出したのが

僕の気持ちを代弁してくれる

レコードだった

こうして

少しおとなに近づいた僕は

もう

あの淡い別れはすっかり忘れて

水面に揺れ動くような

胸を揺さぶられる恋を

生まれて初めて体験した

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雨上がり必死隊

雨の土曜日は

残務整理に適してはいるけれど、

雨が上がってサッと陽がさすと、

もうじっとはしていられない。

その2

街は街で田舎は田舎で

きっと素敵な映像がアチコチで

観られるに違いない。

その4

そう思うと、

買い物もそこそこに切り上げて、

郊外へとクルマを走らせる。

その6

冷えた大気、

湿った景色、

沈む夕陽、

照らされる木々のシルエット

その10

実はこの日の夕方は、

まるで水墨画のような映像が披露されたのだが、

安いレンズは答えようもない。

その7

自然のひとときも止まらない美しさは、

いつ観ても、

やはりアートだ。

その8

その9

紅葉におもうこと

晩秋あるいは初冬の紅葉、

あれはあれで綺麗で美しいが、

ちょっと寂しくもあるのは、

己の年齢や

行く先を暗示しているようでもあるからだ。

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いきものは、滅する前にもういちど華開く。

紅葉は、きっとそのようなものなのだ。

冬は、思うに季節で眠りにつくとき。

または、いきものの死を意味する。

だからこの季節は美しく、

もの悲しいのだ。

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永く生きていると、

或るときから死を意識する。

さて、残された時間をどのように過ごすかと、

とてつもなく大きな難問にぶつかる。

活き活きと生きている先輩諸氏がいて、

さっさとあの世に行ってしまう友人がいたりする。

死は身近なものとして、

いつも私のまわりをうろついている。

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若ぶるか、しっかり老け込むか?

分岐点に立つ人間は、それが問題なのだ。

死ぬ前にひと花咲かせるとは、

まさに晩秋に色づく老木の紅葉の如きである。

紅葉には、死のにおいがする。

紅葉があれほど美しいのは、

生きてきた生への賛歌であり、

グッドバイこの世、

というメッセージが込められている。

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こんなことを考えてしまう私はいま

まさに生の分岐点に立ち尽くす

迷い旅人に違いない。

丹沢の尻尾を歩く

病も癒えてきて、体力もだいぶ戻った。

朝、窓を開けると晴天だ。

週末だし、溜まっている仕事を放りだして、

奥さんと再び山歩きを再開することにした。

写真 1

写真 2

写真 5

写真 3

丹沢は奥が深い。

が、今回は足慣らしで、その尻尾と呼ばれる

低山をめざす。

その昔、山伏が修業で歩いたという途を

ひたすら登る。

山体が龍に似ていることから、

この辺りは龍伝説も残っている。

前回歩いたときは野猿に出会ったが、

今回は一匹も見かけず。

木漏れ日が心地よい。

写真 4

写真 3

写真 1

写真 4

どんぐりがいたるところで

転がっている。

山頂の展望台から、

遠く都心のビル群と、

横浜のランドマークタワー辺りが、

見渡せる。

写真 2

写真 3

写真 4

東京大空襲のとき、

米軍のB29爆撃機は、

相模湾から低空飛行で姿を隠し、

この山を越え、

一気に東京をめざしたという。

まあ、曰く付きの山ではある。

帰りは、神奈川の名湯と呼ばれる

湯に入って汗を流す。

写真 5

お陰で夕飯がうまい。

ぐっすりと眠りました。

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どうわ「ボウのゆめ」

ふかいうみで

そだったポウが

ちかくのうみのそこで

いつものんきにおよいでいる

ちょうちんアンコウのじいさんから

きいたはなしでは

うみのうえには

イルカという

げんきないきものがいて

いつもひかりのあたる

あたたかいうみのうえを

とんだりはねたりして

くらしているらしい

それからポウは

いつか

イルカのようになりたいなと

ゆめをみる

しんかいは

いつもとてもしずかで

ときどき

サメがいじわるにやってくる

けれど

みんななかよくくらしていて

とてもへいわなまいにち

しんかいぎょのポウは

それでも

ちょうちんアンコウの

じいさんからきいた

あのまぶしくて

きれいなひかりのなかをおよぐ

イルカのことがわすれられない

ポウはゆめをみる

そこはキラキラとひかる

せかい

ポウはおもいっきり

うみのうえをはねてみた

そらには

おひさまがかがやき

なみがゆれて

キラキラとまぶしい

とおくに

ふねがうかんでいる

しかしポウは

しんかいぎょだ

うみのそこでしか生きられない

しかたがないな…

ポウは

ゆめのくににすむことになり

イルカにすがたをかえて

ひかりのなかを

とびはねることにした

しょうがないよね!

でも

ボウはいま

とてもしあわせです

写真4

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落ち葉を掃くひと

この季節になると

必ずみかける光景が

落ち葉を掃いている姿だ

落ち葉を掃いている様は

とめどない

それがどこか空しく

終わりのない作業のように思えるも

永いひとの一生の

日々の暮らしのようにも思えてくる

累々と降り積もる落ち葉

が、どのひとも修行僧のように寡黙で

それは

なにかを分かっているようでもあり

それが運命だとあきらめ

うなだれた気持ちを

丸まった背中で語っているようにも

思えてくる

掃くそばから

無情にも葉が止めどなく落ちるが

ひとは構わず掃き続ける

こうして冬が深まり

皆、暖の支度を終え

景色は色を落とし

空は澄み

キンと張り詰めた季節が

今年も始まる

逝ってしまったひとよ

もの悲しいこの季節に

僕はよく思うのだが

あなた方の時間は

やはり

日々

落ち葉を掃くように

過ぎてゆくのですか?

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時代なんか、パッと変わる。

ベルリンの壁が崩壊したのが、

確か1989年だった。

これに遡ること5年。

鬼才コピーライター秋山晶さんは、

サントリーのウィスキーのコピーを、

こう表現した。

―時代なんか、パッと変わる。―

シルキーという商品の性格上、

その思惑は想像できるが、

私は後に、彼はある意味で、

時代の予言者ではないかと思った。

当時、仕事で鬱屈していた私は、

このコピーを、赤坂の喫茶店で

目にした。

坂の上あるその店で新聞を広げ、

赤坂の街を眺めながら、

そうだ、

時代なんか、ひっくり返ればいいんだ。

そう思ってうなだれていた。

が、次の瞬間、何かがピピっときた。

この広告は、凄い!

出版社を辞め、幾つかの編プロを渡り歩き、

いい加減に疲れ果てていた私に、

かすかな光が灯った瞬間だった。

いままでの職歴をとりあえず捨て、

的を変え、

翌日から新聞に掲載されている求人欄を、

丹念に見入った。

出版社の編集者から広告会社のコピーライターへと、

急きょ進路を変更したのだ。

ゼロからの出発に賭けた。

まあ、しかしよく落ちた。

それも履歴書の段階で。

「コピーライター経験者限」

「コピーライター経験3年以上」

コピーライター未経験の私が入る余地はなかったが、

何社か面接に来ても良い、という返事をいただいた。

結局、

その何社かのなかの一社に

私は奇跡的に入れていただいたが、

後年、その会社の社長に、

なぜ私を入社させたのか、

くだらない雑談の中で、その答えを聞いたことがある。

「あのねぇ、人っていろいろいるから

そもそもからして、

ちょっとやそっとじゃ分からないんだよね。

まして経験者なんていっても、

つまんない経験ばかりしている者もいる。

そういう奴って、ホント面白くないしね」

「………」

「あっ、そうだ、お前のことだろ、

なんで取ったのかって?

あのね、お前が面接に来ただろ、

そのときね、部屋がパッと明るくなったんだよね」

「それだけですか?」

「そうだよ、それだけ」

「………」

「あのね、

お前は信じないだろうけれど、

ホントはそういうことって、

とても大切な事なんだよ」

「………」

かくして私は、その会社で、

コピーライター一年生としてのスタートを切れたが、

その事を思い出す度に、

人生ってホントに分からないなと、

いまでも思っている。

なので、

あまり先の計画は立てないようにしているし、

無計画的計画というのが、私の基本姿勢でもある。

まして他人任せの世の中なんぞ、

もっと分析不能で分からない。

これは断言できるナ。

という訳で、

当然、私には明確なライフプランがない。

あるのは、感。

自らのアンテナのみ。

こうした自分に満足ではあるが、

ときに呆れられたりすることもよくある。

良くも悪くも、

時代なんか、パッと変わるのだ。

人生も然り。

私に影響を与えた秋山晶さん、○○社長は、

実はそのなんたるかが、見えていたのだろう。

それが

優れたクリエーターに欠かせない資質であると、

いま頃になってやっと分かってきたのだが…

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秋散見

写真 3

北海道の仕事仲間と、気候の話になった。

曰く、向こうはもう紅葉も終わり、

朝は氷が張っているところもあるとか。

写真 3

「そっちの気候も、なかなか厳しいね?」

「いや、慣れているから…

それよりそっちのゴチャゴチャした

都会のなんていうか、

そういうのが私、駄目なんだよね」

写真 1

そう思います。

写真 2

後日、同じく東京の仕事仲間と話していたら、

「いい加減、こっちへ戻ってこいよ」

「いや、遠慮するよ。

そっちのゴチャゴチャした

都会のなんていうか、

そういうのが私、駄目なんだよね」

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