僕の胸の辺りを
兵隊さんが歩く
ザックザックと無言で
銃を抱えて歩いてゆく
こんなことなら
良くないことが起こりそうで
僕は街から出ることにした
兵隊さんが消えるまで
僕はいつかいこうと思っていた
あの山へ登った
悲しいだろ苦しいだろ
たき火を眺めながら
自分に聞いていた
慰めていた
そんなに疲れちまった
僕だから
たき火の向こうの漆黒に
薄汚れた映像を映しては
それを引っぺがしては
火にくべる作業が
三夜も続いた
そんな訳で
兵隊さんたちは
やっと消えたけど
残った燃えかすには
美しいものも
歓べる程のものもない
ことも分かった
僕は目の前に流れる川辺で
顔を何度も洗い
自分がどうしたいのか
何度も自身を確かめていた
河原で毛布にくるまって
その夜も空を眺めていると
とめどなく溢れる涙が
頬を流れていた
火が消えそうになる前に
僕は昨日と同じように
クルマに戻り
再び毛布にくるまって
朝まで眠りこける
きっと朝になれば
この空も
川のせせらぎも
鳥のさえずりも
そしてこの自分すらも
再び愛せるような
気がして
そうだ
街へ降りたら
まず最初に出会った人に
最高の笑顔で
挨拶をしてみてはどうか
そんなことを考えながら
再び消えた火の前に
うずくまる自分がいた